一日の始まりは野菜ジュース
一日の始まりは野菜ジュースから。
血みたいに真っ赤でどろりとした液体をコップに注ぐ。
それを一気に飲み干す。
これが僕の朝ごはん。
大丈夫、栄養はこのジュースに入ってるから。
僕は教室のベランダで空を眺めながら紙パックの野菜ジュースに細いストローをさす。
ここは4階。5階まであってその上に屋上もあるけど、面倒だからここでいい。
友達と話すのも面倒だから、昼休みは曇りの日も雨の日もここで独り、野菜ジュースをすする。
大丈夫、5階のベランダが傘になるから。
大丈夫、独りは慣れてるから。
暗い部屋に明かりをつけて、テレビをつけて、日記をつける。
でも僕の日々は特に変わったことがないから、日記に書くのはその日のニュースくらいだ。
今日も殺人事件が起きたらしい。殺している間に何か別の有意義なことができたろうに。
風呂に入って上がったら、冷蔵庫に向かう。
コップに血みたいな野菜ジュースを注ぐ。
それを一気に飲み干す。
もっとクリアな、そうだな水を飲んだ方が風呂上がりの体にはいいんじゃないかな。
僕の血はきっと野菜ジュースみたいにどろどろだ。
今日も一日お疲れさま、僕。
明日も今日みたいに目覚めるだろうか。
大丈夫、野菜ジュースを飲んだから。
大丈夫、僕には特に目標も何もないんだ。